当院の治療概要
急性期の激しい痛み(急性疼痛)の治療
三叉神経痛、ぎっくり腰、四十肩(五十肩)、片頭痛、群発頭痛、など、急に激しい痛みを発症し、何も手につかないほどの苦しみを感じる患者さんがおられます。私たちは、そのような急性の痛みを神経ブロックなどの技術を用いたり、適切な投薬を行う事で迅速に緩和し、より早く日常生活に復帰するお手伝いをいたします。
なかなか治らない痛み(慢性疼痛)の治療
患者さんは痛みを感じると、部位に応じて、内科、外科、整形外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、婦人科、泌尿器科などの診療科を選択し受診します。原因が治癒すれば痛みは緩和されます。しかし、ときに様々な診療科を受診しても痛みの原因が分からず長引いたり、原因は分かっても痛みが十分に緩和されずに日常生活に支障が出たりして苦しむ患者さんがおられます。私たちは、そのような、なかなか治らない痛みを全人的に診療し、日常生活をよりよく過ごすお手伝いをいたします。
がんの痛み(がん性疼痛)の治療
がん患者さんの半数以上が痛みを感じていると報告されています。がん患者さんが抱える痛みの原因はさまざまで、がんそのものによる内臓・骨・皮膚・筋肉・神経などの痛み、化学療法の副作用による末梢神経の障害による痛み、手術の創の慢性の痛みなどさまざまです。がん患者さんの中には治療薬やがんの影響で、腎臓や肝臓の機能障害などを合併している方がおられます。腎臓や肝臓はお薬を分解し体の外に排出する臓器であり、これらの障害があると、お薬の選択を慎重に行う必要があります。また、がん患者さんの中には体力が落ちていたり栄養状態が悪くなったりしてお薬の必要量が同世代の方と異なる場合があります。このように、がん性疼痛の治療は非常に個別性が求められます。私たちは、患者さんの状態に配慮した適切な鎮痛法を選択し、患者さんが痛みに煩わされずに「自分らしく」ある事ができるよう、お手伝いをいたします。がんの治療を受けておられる医療機関様からの診療情報提供書をお持ち下さい。
痛みの背景にある心身の不調や内科疾患への対応
痛みが原因で不眠や食欲不振、抑うつなどの心身の不調を生じる事があります。逆に、心身の不調が痛みを増悪させる事があります。また、糖尿病、痛風などの内科疾患が痛みの原因となる事があります。冷え性、風邪をひきやすい、疲れやすい、肥満症、月経困難症などの体質が痛みと関連する場合もあります。私たちは、痛みを総合的に診療するクリニックの立場から、これらの症状、疾患、体質などを改善・治療するお手伝いをいたします。
当院で行える治療のご紹介
神経ブロック
腰部硬膜外ブロック
腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアなどに適応があります。
胸部硬膜外ブロック
胸部の帯状疱疹関連痛や胸部の遷延性術後痛、肋間神経痛に適応があります。
仙骨硬膜外ブロック(コーダルブロック)
坐骨神経痛や腰下肢の痛みに適応があります。
星状神経節ブロック
顔面、頭頸部、上肢の痛みや血流障害突発性難聴、鼻炎、自律神経失調などに適応があります。
三叉神経ブロック
三叉神経痛の診断と治療に適応があります。
筋膜リリース (Fascia/Hydroリリース)
肩こり、腰痛、関節拘縮、神経の癒着による痛みなどに適応があります
腕神経叢ブロック
首から手の痛みに適応があります。
大腿神経ブロック
大腿神経領域の痛みに適応があります。
坐骨神経ブロック
坐骨神経痛の診断および治療に適応があります。
肩甲上神経ブロック
肩の痛み全般に適応があります。
トリガーポイントブロック
全身の筋膜性疼痛症候群(筋肉の痛み)に適応があります。
頚部神経根ブロック/頚部硬膜外ブロック
頚椎症や頚部の帯状疱疹などに適応があります。
~神経ブロックを受けていただく際は以下の点にご注意ください~
- 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬、抗血小板薬)を内服しておられる方は、出血しやすいため神経ブロックが行えない場合があります。別の治療法を検討しますので、ご相談下さい。
- 糖尿病を合併しておられる方、ステロイドや免疫抑制剤を使用しておられる方は、感染しやすいため、ブロック以外の治療方法をお勧めする場合があります。
ファシアハイドロリリース
平成28年の厚生労働省 国民生活基礎調査では、自覚症状の多い順で、
<男性> 1位:腰痛 2位:肩こり
<女性> 1位:肩こり 2位:腰痛
と報告されています。
多くの方が肩こりと腰痛に困っておられます。
肩こりは酷くなると頭痛・吐気・目の疲れ・手の痺れなどを、腰痛は抑うつ気分、身体活動の低下、などを合併し、社会生活への大きな支障となります。
当院で肩こりや腰痛に対して行っている、エコーガイド下筋膜リリース(Fascia Release)という治療法をご紹介します。
筋膜リリース(Fascia Release)とは
冷え、同じ姿勢を続ける、荷重をかける事で、筋肉に負担がかかると筋肉が収縮・硬直して痛みが発生します。この痛みの発生源は筋肉を包む膜に発生しやすい事が分かっています。ストレッチやマッサージで筋肉の収縮や硬直を緩めると痛みは緩和されますが、筋膜の癒着が強いと、それも難しくなります。
そんなガチガチの筋肉痛にエコーを使って注射の針先を筋膜と筋膜の間にピンポイントで誘導し筋膜を剥がすと、筋肉の滑走性が改善し、痛みが和らぎます。神経や血管は筋膜の上を走行しているので、筋膜リリースにより神経や血管の圧迫が解除され、神経障害性の痛みや血流障害に伴う痛みも緩和されます。
筋膜リリースはストレッチやマッサージと併用すると効果的です。リハビリテーション、整骨院、針灸院など、かかりつけをお持ちの方は、そちらの治療を継続しながら筋膜リリースを併用する事をお勧めします(かかりつけのご担当者様にリリース部位を指定していただき、その部位を治療する事も可能です)。
筋膜リリースについてもっと詳しく知りたい方は、『筋膜リリース(Fascia リリース/Hydroリリース)に関するQ&A』をご覧ください。
筋膜リリースの様子
- 問診と診察からリリース部位を決めてエコーを当てます
- 厚さ数ミリメートルの膜の間にエコーで針を誘導し薬液を注入します
- 筋肉の癒着の程度に合わせて数回~10回程度注射します
- とても細い針を使用するため痛みは軽度です
- 複数回注射しても安全な薬液を使用します
- 薬液の種類により保険診療と自由診療の選択が可能です
関節内注射
変形性膝関節症、肩関節周囲炎(五十肩)などに適応があります。局所麻酔薬や抗炎症薬(ステロイド)、ヒアルロン酸を用います。
その他
イオントフォレーシス
多汗症、帯状疱疹後神経痛などに適応があります。施行中、ピリピリしますが、痛みがほとんどありません。神経ブロックに抵抗がある方にお勧めします。
キセノン光による理学療法
肩こり、腰痛、頭頸部の痛みなど幅広い病態に適応があります。
点滴
局所麻酔薬や血流を改善する薬の点滴は、脊柱管狭窄症、神経障害性疼痛、全身の痛みに適応があります。