肩こりに関するQ&A
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1. 肩こりとは何でしょうか?
肩こりは病名では無く症候群です。首筋から肩・腕にかけての痛みや痺れなどの症状を指します。さまざまな病気で「肩こり」を生じます。例えば、頸椎症性神経根症、頸椎椎間板ヘルニア、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、凍結肩などの整形外科疾患や、くも膜下出血、狭心症、呼吸器疾患、消化器疾患などの内蔵疾患でも首や肩・腕に痛みを生じ、「肩こり」と表現されます。このように、ある病気の症状や、他の部位の障害による関連痛による肩の痛みを「症候性の肩こり」といいます。
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2. 肩こりの原因の診断はどのように行うのでしょうか?
前述のように、肩こりの原因は筋肉性の痛みとは限りません。問診などから生命の危険に直結する内臓疾患による肩こりを除外します。必要があれば心電図や血液検査を行います。頚椎症や胸郭出口症候群、末梢神経障害肩関節由来の痛みが疑われる場合は肩関節のエコー検査やMRI検査を行います。これらの検査で整形外科疾患や内臓疾患による肩こり(症候性の肩こり)が除外された後に筋肉の障害による肩こりの可能性が高くなります。
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3. 筋肉性の肩こりの原因は何でしょうか?
主な原因として①筋肉の使い過ぎ、②長時間の同じ姿勢、③不自然な姿勢、④体を冷やす、などが挙げられます。荷重をかける、同じ姿勢を続ける、冷え、などで、筋肉に負担がかかると筋肉が収縮・硬直して痛みが発生します。パソコン作業、書字、札勘定、レジ接客、目視検査などの長時間同じ姿勢をとる職種の方に肩こりが多いとされていますが、保育、介護、調理など筋肉に負担がかかる作業をしておられる方の中にも、肩こりでお困りの方が多くみられます。
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4. 筋肉性の肩こりに関連した症状にはどのようなものがあるでしょうか?
主な症状は、首、肩、腕、背中の痛みですが、肩こりがひどくなると、頭痛、吐き気、手の痺れ、手の冷え、字が書きにくい、脱力感、腕が重い、不眠、食欲低下、抑うつなどの症状を併発する事があります。
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5. 肩こりの治療にはどのようなものがあるのでしょうか?
局所の疼痛を緩和する方法として、筋膜リリース、トリガーポイント注射(触診などで圧痛点を探して局所麻酔薬を注入する)、理学療法(当院ではキセノン光を使用した治療を行っています)、湿布や塗り薬、などがあります。頚椎症や肩関節周囲炎などに合併した肩こりの場合は、星状神経節ブロック、腕神経叢ブロック、深頸神経叢ブロック、肩甲上神経ブロック、肩甲背神経ブロックなどの神経ブロックを行います。内服薬としては、漢方薬、鎮痛薬、筋弛緩薬、抗不安薬などが使用されます。また、不眠、抑うつなどの関連症状が辛い場合はそれぞれに合った薬物療法を行います。
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6. つかはらペインクリニックでは、なぜ改めて肩こりの治療を取り上げるのですか?
院長の周りには肩こりで困っている人がたくさんいます。家族や友人だけでなく、院長自身も肩こり持ちです。よく家族に鍼治療や筋膜リリースをしてあげています。自分自身も同僚に鍼を置いてもらったり筋膜リリースしてもらったりしています。肩こりが解消すると気分が上がり、仕事がはかどる事を経験します。一方、友人から「肩こりくらいで病院に行くのは恥ずかしい。」「どの診療科に相談すればいいのか分からない」などの相談を受ける事があります。院長は前職は大学病院に勤務していました。確かに肩こりで大学病院を受診するのは気が引けますよね(大きな病院には大きな病院でしか診る事ができない患者さんに専念してもらう必要があります)。そこで、当院のような小さなペインクリニックであれば、肩こりで困っておられる方が受診しやすいのでは、と考えました。医学的根拠と自身の経験から得た肩こりの治療のノウハウを多くの方に少しでもお役に立てる事ができれば幸いです。
当院では肩こりの治療に力を入れています。お気軽にご相談ください。