ハイドロリリースの応用①:頭痛に効くハイドロリリースに関するQ&A
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1. 頭痛にハイドロリリースが効くのですか?
ハイドロリリースは一部の頭痛に効果があります。特に、頭蓋骨を覆う筋膜の緊張に伴う頭痛には効果が期待できます
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2. どのような部分にハイドロリリースを行うのですか?
当院では、頭蓋骨を覆う筋肉に圧痛があり、重要な血管や神経などが無い部分であればどこでもエコーで見てリリースを行っています。例えば側頭筋、後耳介筋などは圧痛が多い部位です。そのほかにも身体所見や動作診断から、以下のQ3~Q6のリリースを選択する事があります。
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3. 外側翼突筋のハイドロリリースとは?
顎の動きの悪さが頭痛を含めた全身痛の原因となる事があります。顎関節を動かす筋肉の1つである外側翼突筋をリリースすると原因のつかない慢性痛が軽快する事があります。エコーで見ながら動脈を避けつつ慎重にリリースします。
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4. 大後頭神経周囲のハイドロリリースとはは?
後頭部の頭痛、目の奥の痛み、むち打ちなどの頚部痛に効果があります。頭部と頸部をつなぐ頭半棘筋と下頭斜筋の間にある大後頭神経周囲のfasciaをリリースします。
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5. 頸部の交感神経のハイドロリリースとは?
頚部の交感神経の過緊張が頭痛を助長する場合があります。頸動脈に絡みついた交感神経の周囲のFasciをリリースする事で効果を得ます。胸鎖乳突筋と肩甲挙筋の間からのアプローチは安全で肩こりにも効果的です。
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6. 胸鎖乳突筋下面のハイドロリリースとは?
耳の後ろや側頭部の痛みがあって、局所の圧痛が無く、神経痛が疑われる時に選択します。胸鎖乳突筋の下面の浅頸神経叢を慎重にリリースします。
エコーを使用する事で、以前はブラインド(エコーを使用せずに解剖や手の感覚で処置を行う事)で行っていた神経ブロックが格段に安全に行えるようになりました。しかも、局所麻酔薬の作用よりも神経周囲のFasciaを生理食塩水でリリースする事が鎮痛効果を生む事が示され、神経ブロックの考え方が変わってきています。
ハイドロリリースを応用した治療法が次々と報告されており、進歩に置いて行かれないよう勉強を続けていく事を心がけています。患者さんに安全で効果的な治療を提供できるよう、これからも精進していきたいと思います。